パンズ・ラビリンス

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主人公の少女・オフェリアは
スペイン内戦で
大好きな父を亡くしてしまい、
病気がちで身重の母とともに
再婚相手の元へ向かう。
しかし
「新しいお父様」ことヴィダル大尉は
レジスタンス掃討を指揮する残忍な男で
オフェリアに対して冷酷な態度をとり、
母の事も“跡継ぎを産む道具”としか
見ていないようなのだ…

と、いうわけで
「パンズ・ラビリンス」を観て来ました。
ファンタジーと呼ぶにはあまりにも血塗られた
どこを切っても痛そうな作品です。
主人公が女の子だからかしら…
同じく内戦下スペインが舞台で
男の子が主人公の
「デビルズ・バックボーン」より
5割り増し位ハード。
さすがはデルトロ監督!容赦ないぜ…!

「痛そう」というからには
それだけ映像にリアリティがあるわけで、
視覚効果がすばらしかったですね…
注目されるのはやはり
タイトルにも登場する牧神パンのデザイン。
パンってもっとこう…丘の上でのんびりと
パンパイプ吹いてそうなイメージ(※)↓だったんですが、
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           ※「ラオ博士の7つの顔('64)」より
この作品のパンは恐ろしいクリーチャーで、
お顔がどことなく中村獅堂似で…(※)
わ…笑っちゃダメだ!
※註:これを「“中村獅堂=恐ろしい”理論(仮説)」とする。

内戦直後の不穏な情勢、
義父によってとても軽く扱われる人命、
思春期の不安定な情緒と孤独感…
加えて、
作中では常に
部屋に響く不審な音や
冒頭のナナフシ(それを妖精と呼びますかっ;)の羽音など
何かが軋むような音が鳴っています。
それらが更なる不安を駆り立て、

そして
少女オフェリアの目の前に
妖精さんが姿を現すあたりで…

現実が
あまりにも過酷で
どこにも
逃げ場が
なくなってしまったときに
不意打ちのように現れる
“この世ならざるもの”の存在、
まるで
「ここではないどこか」に
連れ出してくれそうな…

しかし
その姿は禍々しく狂気を帯びていて、
この“使者”は本当に
自分のことを救いに来たのか…
「ここではないどこか」が
本当に「ここ」よりマシな場所なのか、
はたまた地獄の底なのか

分からない…

分からない
けれど

ほかに

道は無い…


って
ああうあうあう(泣)


ギリアム監督の
「ローズイン・タイドランド」(→過去日記)
なんかもそうなんですが、
トリカラは
弱いんですよ
こーいうのに!!(≧□≦)

ファンタジーの体裁をとってはいるけれど
おそらく、主人公は狂気の狭間にいて
頭の中に逃げ道を作っている状況なんです。
ああ、なんか
ヤバイもん見えてきちゃったよ!
的な。

やー素晴らしかったよ…
観るのに体力要るけど、
この映画が劇場で観られて良かったー!
も一度観るかと問われたら
ちょっと尻込みしちゃいそうですけどね。
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痛い描写が苦手な方には
同監督の「デビルズ・バックボーン」をオススメします。
内戦下スペインの孤児院で、
少年が出会った幽霊とは…?
幻想的かつ、じわじわ来る怖さが秀逸です。
デビルズ・バックボーン スペシャル・エディション [DVD]

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